半分青くて半分タイ

25年半のタイでの生活を終え帰国。大好きな旅の事、グルメの事、タイでの事を綴ります。

和食

最近、食でネパールを旅してきたFah Thaiです。

和食がユネスコ無形文化遺産に登録された2013年12月4日。世界中で和食の人気が加速し、日本が日本の食文化を見直すキッカケになりました。

ここバンコクでも日本食は大人気。ここ数年、おまかせで寿司を食べることが流行っているように感じます。私がタイに住み始めた26年前は、バンコクにも日本料理店がありましたが、それほど多くはなく日本で食べる日本料理のように感動したお店はあまり無かったように思います。その中でとても印象に残っているのはアマリンそごうの地下にあった「レストランそごう」というお店でした。お料理が美味しいのはもちろんのこと、日本の自然、四季、奥ゆかしさなどが感じられるとても素敵なお店でした。

今では日本からのお店も数多く進出しているバンコク。日本と変わらないクオリティの食事を楽しめることは、タイで暮らす日本人にとっても、日本食を愛するタイ人・外国人にとっても、素晴しい環境だなと思います。私の場合、海外で暮したことによって日本にいた頃よりも和食の美味しさ、その文化の素晴らしさを大切にしたいと思えるようになった、そう気付けるようになった気がします。

NHKBSプレミアムの「アナザーストーリーズ」今年初回の内容は、日本人の日本食離れの危機感から、和食、日本人の食文化をユネスコ無形文化遺産として登録しようとご尽力された料理人・関係者の方々、無形文化遺産登録後に日本食を求めて日本に押し寄せてきた観光客の対応に追われる中で起きた混乱、和食をこよなく愛する外国人ジャーナリストの視線を通して気づいた和食文化の素晴らしさなど、とても共感する内容でした。

昨年仕事を辞めてから時間に余裕が出来、コロナの影響で外食も出来ない状況が続いた中で、私も自宅でこれまでそれほど作る事が無かった時間をかけた和食を作るようになりました。それは何処の家庭でも作られるようなきんぴらゴボウだったり、煮物だったり・・仕事に追われている時には作る事が無かった料理です。そんな料理を作りながら母が作ってくれた煮物の味はどうだったかなぁと思ってみたり、母からしっかり母の味を受け継ぎたいとも思いました。

番組の中で、和食の無形文化遺産登録の為にご尽力された料理人村田氏のお言葉が心に響きました。

おばあちゃんの作る田舎料理、たいしたもんはないんですと言うようなとこが多かったんですけども、たいしたことないことないんやと。これは食べ続けていかなあかんやし、漬け物 漬けつづけないかんし、味噌は作り続けて、おらが地方の味噌が一番うまいんだとなっていかはらんとあかんわね

後世に守り伝えられるべき文化として評価された和食。日々食する家庭料理も、自分が生まれ育った土地の季節ごとの食の文化もちゃんと受け取って守って行きたいとここ数年強く思うようになりました。

ミシュランガイド東京の発行後、東京が世界一☆獲得レストランが多い美食の街として認知され、和食が無形文化遺産登録された事により多くの外国人が美味しい和食を求めて来日されたそうです。ミシュランの☆による格付け、お店にやってくる多くの外国人の対応に追われることによって起きた混乱についても番組では語られていました。混乱の中での苦しみ、それでも自分の味を守ろうとされた料理人の方々の姿がありました。

番組の中で、料理人榊原氏のお言葉。

てんぷらは瞬間芸術みたいなものだから・・・間がとっても大事 

 私の昔の苦い失態を想い出しました。頂く側も料理人への、頂く料理へのリスペクトをいつも忘れずにいたいと思わせて頂いた言葉です。

そして番組の後半に紹介された英国人ジャーナリスト、マイケル・ブースさんから見た和食文化について。ブースさんが仰っていた言葉が幾つも心にささりました。過去にご家族4人で3ヶ月間日本に滞在し、全国のありとあらゆる和食を食べ尽くしたブース一家。その経験を「Sushi and Beyond」という本にして出版され、後に日本でも「英国一家日本を食べる」という名で書籍化されました。さらにアニメとしても放送されました。私はアニメ版を観ましたが、ブースさんが

本に書いた内容は日本人なら誰でも知っていることかと思っていた 

と仰っていたように、日本人でもあまり知らない事も多く興味深い内容で、アニメ自体もとても楽しめました。書籍の方も気になるので紀伊國屋で探してみようと思います。

 アナザーストーリーズの中でブースさんがとらえていた米作りをする農家の方々の生き方や生活の中で大切に守られているものについてもとても共感しました。

 

和食のユネスコ無形文化遺産登録は世界的にというより、日本人が日本の食文化を見直すためにとても重要な事だったのではないか・・・というお言葉がありました。今まさに私がやりたいことの一つです。大げさな事ではなく、母が昔から作っていた和食を教えてもらったり、旬の食材を知ったり、季節毎の行事に関連する料理を母に教えてもらって作る・・そんな事をしたいと思います。