半分青くて半分タイ

25年半のタイでの生活を終え帰国。大好きな旅の事、グルメの事、タイでの事を綴ります。

一番好きな角川映画「Wの悲劇」

2週間ほど前に再放送されていた映画「Wの悲劇」を再度見ました。角川映画の中では「Wの悲劇」と「里見八犬伝」がとても印象に残っています。特に「Wの悲劇」の中のセリフは昔よく真似をして遊びました。何十年も経った今みても良い映画だったな~と思いますし、今だからこそ昔は感じなかったこと・気づかなかったこともありました。あの頃の角川映画は勢いが凄かったですね。

タイトルの「Wの悲劇」は夏樹静子さんの原作「Wの悲劇」からきていますが、この映画の中で演じられる舞台劇の原作としてつけられたもの。映画はその「Wの悲劇」という劇中劇の役をめぐって起こる女優の卵の葛藤・悲劇・成長を描いた物語です。この映画で薬師丸ひろ子さんは全く逆、彼女にはない要素をもつ女優の役を演じ、とても評価されました。この映画によってアイドルから女優へと変貌を遂げたといわれました。そして、大女優、羽鳥翔を演じた三田佳子さん。私の記憶だとこの時点で三田さんは売れっ子の女優のイメージがありましたが、この映画でいろんな賞をとり大河ドラマなどに抜擢されるようになったようです。とにかく、大女優感に圧倒されます。薬師丸ひろ子さんの相手役の世良公則さんも良かったし、演出家の蜷川幸雄さんが演出家の役を演じていたり、音楽担当が久石譲さんだったり以前は気が付かなかったこともたくさんでした。そして映画を見ていながら、その中で演じられる舞台「Wの悲劇」をも観ている感覚になれることも、この映画の好きなところです。

「Wの悲劇」の中から好きなシーンやセリフを振り返りたいと思います。

一番初めのシーン。劇団の研修生三田静香が劇団の俳優五代淳と一夜を共にし、暗がりの中で2人が話をするシーン。そこから「Wの悲劇」のタイトルへと続くのがすきです。バックに流れる久石譲さんの音楽もすごくいい。

劇団の演出家、阿部幸雄(蜷川幸雄)が「Wの悲劇」のWについて、「Wには2つの意味がある。一つは(この話の舞台となる)和辻家のW、もう一つはW、Women女性たちの意味。これは和辻家の女性たちの悲劇である。」と説明するシーン。そして三田静香も後に舞台上でも実生活でも悲劇を演じることになる・・と思う場面。(これは私が何度もこの映画を見ているので、関連付けて感じること)

三田静香は「Wの悲劇」の和辻摩子役を勝ち取るためオーディションを受けるが、摩子役には菊池かおり(高木美保)が選ばれる。静香はセリフがたった一度「失礼します」だけの女中役に選ばれた。そんなある日、「Wの悲劇」で同じ舞台に立つ大女優羽鳥翔に部屋に来るように言われる。そこにベッドで息絶えた翔の愛人、東宝でパートの社長堂原良造の姿が・・・。「手伝って。力になって。」と言う翔に、静香は怖くなり逃げだそうとする。

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羽鳥翔「(私が)研修生だったらよかった。みんな同情してくれる。でも私スターなんだもん。隙あらば引きずり落とそうと皆待ち構えている・・・あ~~もう私ダメだわ。ただの女になっちゃう。」翔は静香に「あなたの部屋で死んだことにしてくれない?」と身代わりを頼む。そしてもし身代わりになってくれたら、摩子役を演じられるようにしてあげるともちかける。怯えながら「できるかしら。」という静香。「できるわよ!あなたは役者でしょ、違う?

↑きれいごと無しにすべてをさらけ出して静香を圧迫する大女優感が凄い!!ただの女になっちゃうっていうセリフ、好きです。

 

翔の身代わりになった静香は堂原良造とのスキャンダルについて記者会見に出席する。堂原氏は愛人だったのか、パトロンだったのかと問い詰める芸能レポーターたちに「違います。私は堂原さんを愛していました。」と説明する静香。「たった一度映画に行ったとき、私のお金でジュースとハンバーガー・・あの人とても喜んで・・・」と、涙を見せながら女優として見事に演じ切るのだった。
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↑ この記者会見で見事に同情を勝ち取る女優の卵を演じきった彼女は、その後自分にサングラスを買う。それが女優として演じきった自分への記念のように思えました。

記者会見をみて静香を待ち構えていた昭夫。

昭夫「どういう事なんだよ、これは。何と言えよ。」

静香「ごめんなさい。でも何も言い訳できないの。」

昭夫「汚ねぇよ。」

静香「嫌いになったでしょ。」

昭夫「ばかやろう。」と静香を殴る。

静香「顔ぶたないで。私、女優なんだから!

↑ 名言でした。よく真似しました。

 

摩子役を代えなければ東京公演には立たないという翔の言葉で、菊池かおりは摩子役から降ろされ静香が抜擢される。東京公演初日当日、「できない。舞台を台無しにしてしまう。」と怯える静香に翔は・・「あなた、今日の為に何を犠牲にしたの?私はね、初舞台の時に怖くて生理が始まっちゃったの。それでもやったわよ、血にまみれて・・。女優!女優!女優!勝つか負けるかよ。いい?

↑ またまた名言。女優!女優!女優!これ、みんな真似しましたよね。

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 そしていよいよ、摩子役の三田静香が舞台に登場する。

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あ~~~~私、殺してしまった。おじいさまを刺し殺してしまった。」←私が一番真似したのはこのシーン。今でも時々やります。笑

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 見事に最後まで演じきり舞台の幕が下りるとその場に倒れこむ静香。そんな静香に翔は「カーテンコールも芝居のうちよ。ほら。

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「今日だけ譲ってあげる。しっかり挨拶しなさい。」と、翔は静香に最後のカーテンコールを譲った。←羽鳥翔・・静香に身代わりをさせ、菊池かおりを摩子役から引きずり下ろした悪い女・・・でも発する言葉がいちいちカッコイイ!これって覚悟を決めてやってきた女優の言葉だからかっこいいんだろうな。


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静香が翔の身代わりになった代わりに摩子の役を得たと知り怒った菊池かおりが、公演後表れる。静香を刺そうとするが昭夫がかばって刺されてしまう。

静香は住んでいたアパートを引き払い、再スタートの場所へ向かう。その前に、以前昭夫が一緒に住もうと誘ったアパートを見に行く。そこには退院して元気になった昭夫の姿が・・・。

一緒にやり直そうという昭夫に、「もっとダメになってしまう。自分の人生ちゃんと生きていなければ女優としてどんな人生も生きられないって気付いたの。」と、昭夫に甘えられない言う静香。

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「(女優を目指す)もう一人の自分は厄介だけど付き合っていくわ。」

「これが俺たちの千秋楽か」と聞く昭夫に、「もう一人の自分が泣いちゃダメだって」と、笑顔でさよならを言う静香。そんな静香に昭夫は拍手を送る。振り向き昭夫の拍手に答える静香。

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そして、Woman~Wの悲劇より~が流れる。好きなシーンはたくさんありますが、やはり一番好きなのはこのラストシーンです。

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