半分青くて半分タイ

25年半のタイでの生活を終え帰国。大好きな旅の事、グルメの事、タイでの事を綴ります。

長崎 老舗料亭「春海」さんの思い出

Fah Thaiは2012年に初めて長崎を訪れました。ガイドブックを買って、わくわくしながら行ってみたいところをいくつか選んだのを覚えています。2012年の長崎旅行で行った場所を懐かしい写真を見ながらリストしてみると、

  • 雲仙温泉
  • グラバー園
  • 大浦天主堂
  • 眼鏡橋
  • 平和公園
  • 出島
  • 伊王島
  • 端島
  • デリシャスレストラン ATTIC
  • 料亭 春海
  • 割烹 草 花洛

等々です。今日は昨年2019年3月末で惜しまれつつも閉店した長崎の老舗料亭「春海」さんの思い出について記しておきたいと思います。初めての長崎旅行で絶対食べたいと思っていたのが、長崎の代表的なおもてなし料理「卓袱料理」。卓袱料理で一番有名なのは、おそらく坂本龍馬や勝海舟も愛したという料亭「花月」さんですが、ガイドブックを見ながら友達とも相談し、私たちが選んだのは「春海」さんでした。通常、板前さんが腕を振るのが料亭ですが、春海さんは女将をはじめ、女性スタッフが心を込めて一品一品手作りするという家庭的でぬくもりのある味わいが多くのファンを魅了しているという料亭でした。友人のお庭が素敵だよ~という言葉も決め手になりました。

私たちが案内していただいたのは月に見立てた丸い窓がある「月の間」でした。この時は女将と若女将がお世話してくださいました。テーブルには幾つかのお料理が並べられていて、飲み物の注文を聞いていただいた後、御鰭(吸い物)が運ばれてきました。御鰭は”お客様一人に鯛一匹を使っておもてなしします” という意味が込められているそうで、女将のご挨拶と「御鰭をどうぞ」という言葉が食事開始の合図です。卓袱料理を頂くうえで、他にもお料理は直箸で取り皿は2枚という作法があります。取り皿2枚というのは給仕の手間がかからないようにとの配慮から始まった作法のようですが、この日は女将が「どうぞお使いください」と、途中取り皿を追加してくださいました。笑

f:id:fahthai:20200524101315j:plain

小菜の鱧の湯引きやお造りがテーブルに並んでいました。

懐かしい写真をみて鱧の湯引き、美味しかったな~と思い出しました。余談ですが鱧と言えば夏の京都。夏の京都と言えば川床・・・また夏の京都で川床料理に行きたいな~・・・話は春海さんに戻ります。

f:id:fahthai:20200524101320j:plain

御鰭。鯛の身やはんぺん、シイタケが入っていました。
f:id:fahthai:20200524101332j:plain
f:id:fahthai:20200524101352j:plain
鰻とハトシ。この時初めてハトシを食べて大ファンになりました。
f:id:fahthai:20200524101423j:plain
f:id:fahthai:20200524101415j:plain
中鉢はとろける美味しさの豚の角煮でした。

f:id:fahthai:20200524101431j:plain

もちろん美味しい長崎のお酒も頂きました。
f:id:fahthai:20200524101441j:plain
f:id:fahthai:20200524101511j:plain
f:id:fahthai:20200524101525j:plain
f:id:fahthai:20200524101458j:plain
f:id:fahthai:20200524101542j:plain

他にも大鉢は甘鯛の桜蒸し、ごはん、香の物、スープ、果物、ぜんざいまで頂きました。すべてが心のこもった味わいで、美味しかった春海さんの卓袱料理の数々でした。鉢・お皿も本当に素敵でおそらく有田焼だったと推測します。中にはオランダ船や異人さんが描かれたものもあって長崎らしく目でも楽しませてもらいました。

f:id:fahthai:20200524101555j:plain
f:id:fahthai:20200524101604j:plain

食事の後は女将のご厚意で、この約3年後に登録有形文化財に指定された「春海」さんの各お部屋と部屋から望むお庭を見せていただきました。心地よいライトの光に照らされた夜のお庭も趣があり本当に素敵でした。

それから約1年に1回のペースで長崎を訪れて、また春海さんに行きたいと思いながらも時は過ぎてしまいました。昨年2月ごろ友人から春海さんが「3月末で閉店する」と聞いたときは本当に悲しくて淋しくて、なんとかもう一度予約ができないかと友人に確認してもらいました。残念ながらその時点で予約はもういっぱいで、2度目の訪問は叶いませんでした。その時の報道によると閉店後の春海さんは

シンガポールを拠点に企業支援や投資業を営む孫泰蔵氏(46)の会社が土地と建物を取得し、地域課題の解決を通じ若者を中心とする教育プログラムに取り組む。

という事でしたが、その後どうなったのでしょうか。春海さんが閉店して約1か月後の昨年4月に長崎帆船祭りで長崎を訪れた際、春海の前を通りました。その時は呉服の展示会に利用されているようでしたが・・・。

たった一回だけでしたが、利用させていただけて心から良かったと思いました。人生の中で一生忘れられない料理やおもてなしがあると思いますが、料亭「春海」さんもそのうちの一つです。とても素敵な思い出をありがとうございました!

www.youtube.com